大銀座落語祭

先日5日間にわたり銀座のホールを殆ど使って落語の公演が繰り広げられました.私も2日間上京し、約40席の落語を堪能しました.忘れてしまうといけないので書き残しておきます.
7月14日(土)王子ホール(ミュージカル落語)「エルヴィス・プレスリー物語」三遊亭亜郎
        時事通信ホール (上方おもしろ寄席)(芸能人落語大会)
        山野楽器イベントスペース (お楽しみ寄席)
 ミュージカル落語は、元劇団四季の団員だった亜郎の恒例の上演。家内がプレスリーファンであり、ミュージカルも好きなので聞きに行きました.ピアノ、チェロ、ドラムをバックにプレスリーの生涯を噺で聴かせ、合間にはお馴染みの名曲が入ると言うものでした.一番前で聴いていたので、音が大きく疲れました.
 「上方おもしろ寄席」は、月亭八方、松福亭仁福、桂きん枝、月亭八天、月亭八光〈はちみつと読む八方の子息)の出演で、見台と膝隠しを高座においての本格的な上方落語でした.
 「芸能人落語大会」は、渡辺正行松尾貴史、コロッケ、光浦靖子猫ひろしの出演で面白かったです.
演題は出演順に猫ひろし「動物園」、光浦靖子「マキシム・ド居酒屋」渡辺正行黄金餅」中入りの後、コロッケ「文七元結」、トリが松尾貴史で「茶金・はてなの茶碗」でした.
 猫ひろしは、ストーリーを追うので精一杯、光浦靖子は、新作に兆戦し、マクラも無しに本筋に入りました.
渡辺正行は、さすがに明大の落研出身で、古今亭のお家芸黄金餅」、例の言い立ての部分をそつなくこなし、面白く聴かせました.問題はコロッケ。落語を聞いて自分でこれがやりたかったと言う「文七元結」。これはプロの真打が演じる長編人情噺です.時間も1時間近くかかるのにと思っているうちに、舞台が暗くなりアナウンス。「文七元結、配役は左官の長兵衛に田中邦江、女房お兼に・・・」と始まりました.物真似の落語は聴きたくないですね.最初から物真似をやったほうが言いと思いました.笑いは取れてしましたが、落語ファンとしてはどうも・・・・。トリの松尾貴史は上方ネタとも言える「茶金」の一席.トリらしく落ち着いてじっくりと聴かせました.『落語』という一人芸がいかに難しいかを教えてくれました.

7月16日(月・祭) 時事通信ホール 「四天王一番弟子の会』 志ん五・                                        鳳楽・里う馬・一朝・〆治
           「柳家喬太郎におまかせ!の会」 柳家喬太郎                       ギンザ・コマツアミュゼ 「普通じゃない落語会」 智之介・枝曾丸・米平・小米
                 「上方落語の四季」 染左・鶴志・小米朝・呂鶴
                          
志ん朝。円楽、談志、柳朝の四天王の一番弟子に加え、小三治の一番〈実際は一番ではないが、現在の弟子の中では一番)弟子の〆治の会です.
演題は、出演順で〆治「初天神」、一朝「芝居の喧嘩」、志ん五「抜け雀」、里う馬「猫災」、鳳楽「唐茄子屋(中盤まで)」それぞれが熱演で、師匠を彷彿とさせる噺に聴きこまされました.これからの落語界を背負って立つ人たちなので、後進の指導に力を入れてもらいたいと思いました.
 喬太郎は、私の好きな噺家です.今回はどんな趣向で話を聴かせてくれるの楽しみにしていたら、「おまかせの会」って何がおまかせなのか何にも聞いていないという話から始まりました.
そして、「子ほめ」に入り、聴いているうちに「寿限無」へ、そして「初天神」へと続き、まだまだ先がありました.「子別れ」に入り、続いて「寝床」、そして「文七元結」と上手く切れ場を考えて、落語のダイジェストを聴いているようでした.なかなか技術のいる話し方だと思います.今、売れに売れている喬太郎の噺をタップリと楽しみました.
 「普通じゃない落語会」は余興的な番組でした.笑福亭智之介「マジカル時うどん」は、噺の中にマジックがついてくるというもの。桂枝曾丸は、「和歌山弁らくご」で市井のおばちゃんの噺。桂米平「忠臣蔵立体紙芝居」は、高座で紙芝居を見せ、人物などが切り取られている、不要になると脇へほかすというもの。30年以上前に、柳家三亀坊という上方の人がやっていたような気がしました.関東で言うと、亡くなった百面相の栄一さんのようなものだと思えば間違いない。そして小米の「鳥取弁らくご」と本流から外れた番組でした.
 後半の「上方落語の四季」は、染左「隣の桜」、鶴志「天王寺参り」、小米朝人間国宝桂米朝の子息)「まめだ」、トリは呂鶴の「池田の猪買い」。「隣の桜」は、東京で桂小南師匠が「鼻ねじ)として演じていた.
天王寺参り」はいかにも上方落語という感じで、師匠の松鶴(しょうかくではなくしょかくと読みます)を思い出させた.私は、東京で百生という落語家で昔聞いて面白かったことを覚えています.小米朝の「まめだ」は狸の子供の噺でちょっとほろっとさせられるもの。呂鶴の「池田の猪買い」はいかにも上方らしいおおらかな噺です。ここに書いた会の合間に、無料で聴かせてくれた山野楽器のホールでの会(二つ目クラスの噺家が出演)も大入り(無料なので)と2日間で40席近くの落語を聴きました.時間があればもっと行きたい会場もありましたが、チケットが入手困難なことと、今回は腰痛がひどいので、ここまでで我慢しました.お読みいただいた方ご苦労様でした。様子が少しでもおわかりいただければ幸甚です.