歌舞伎鑑賞教室

 国立劇場では、毎年6・7月に「歌舞伎鑑賞教室」を開催している.教室とついているのでおわかりかと思いますが、初心者、というよりは東京近辺の高校生などを対象に、歌舞伎の約束事の紹介をした後、一幕物を見せるというものです.
解説は、若手の役者が勤め、そのときにより、舞台機構(回り舞台・せり・すっぽん・花道)の解説のときもあれば、下座音楽、立ちまわりなど、歌舞伎に関するちょっとした知識をしてもらおうとする趣向です.
 今年は時間があったので、2公演とも行って見ました.料金が安いのも魅力です.
6月は「双蝶々曲輪日記」(通称「引窓」)、7月は「新版歌祭文・野崎村の段」が上演されました.
解説のほうは、6月は舞台の道具、装置について、「引窓」の舞台をそのまま見せながら解説しました.7月は芝居に出てくる十二支ということで、鼠〈伽羅先代萩から床下)、牛「菅原伝授手習鑑から車引」虎「吃又」、
兎「玉兎」龍「鳴神」などなど実際に芝居に出てくる小道具などを見せながら解説しました。これは芝居好きには本編のダイジェストを見ている様で楽しかったです.
芝居のほうは、義太夫の詞章には、舞台の両袖にスライドのようなもので語りがそのまま判るように映し出されましたが、その語句の意味自体がわからないのではないでしょうか.
地方でも、このような公演があると良いと思いましたが、やはり本舞台の機構的な物を見てもらいたいと思いますので、一度は本物の舞台で『歌舞伎』を見てもらいたいと思いました.
7月の「新版・・・」は、お染・久松のお芝居ですが、最後の場面で、本来、両花道といって上手に仮設の花道を作り、お染は舟で、久松は駕篭でという趣向を見せるのですが、今回は船は上手に引っ込むという演じ方で残念でした.場内は近県の高校生でいっぱいでした.この中から少しでも歌舞伎に興味を持ってくれる若者がいたら良いなと思いながら、劇場を後にしました.