こども寄席

以前頼まれていた子ども劇場主催の『こども寄席』が開催されました.私が全面的に企画協力したホールでの落語会です.対象が4歳以上という難しい企画ですが、ふたを開けてみると、小学校3年生ぐらいから上の子ども達が来場していました.日本の伝統話芸である『落語』をいかにして楽しんでもらおうかと頭をひねった企画が実現しました。
まずはじめに寄席の楽屋を見せてしまおうと、大太鼓(おおどといいます)締太鼓(しめだいこ・地元のお囃子会の物を借りて代用)鉦(よすけ・太鼓2種三味線笛を助けるという意味)そして三味線のお師匠さんにナマで(普段の落語会はCDやテープでまにあわせる)演奏していただくという豪華版です.開場時の「一番太鼓」出演者が揃ったという「二番太鼓」の説明に続き、出演者各自の出囃子紹介、【演者一人一人異なり、寄席通の人は出囃子を聴いただけで出演者が誰かわかります】今回は、こども寄席なので、「ミッキ−マウス・マーチ」と「ドラえもんのテーマ」を演奏するという大サービスでした.地囃子(景気付けのために演奏される)の紹介と続き、最後には歌舞伎で使われる効果音(水音・風音・波音・そして夏場向けの幽霊の出現音など)を紹介していわゆる下座音楽の説明を終了。ここからは落語を楽しんでもらいました.前座さんの「歌ぶと」さんによる『転失気』(いわゆるオナラの噺で子ども達は下ネタ風の笑いに大喜び、もちろん大人も楽しめました。)そして真打登場、三遊亭吉窓師匠による『狸の札』(狸が助けてもらった恩返しにお札に化けて借金取りに渡され、財布の中に入れられて、苦しくなって食い破って出てくるが、そのときに中にあったお札を持ってきてしまうという噺)で笑わせた後、立ちあがって寄席の踊りをひとつ、(ナスカボというナスがかぼちゃに恋をするという面白い踊りを見せてくれました.)お仲入り(休憩)の後は食いつきで「休憩後一番最初に出てくる噺家のことですが、予算の関係で今回はすぐにヒザ替わり<トリの噺家の前に出る色物の芸人のことで、トリの噺家を食ってしまってもまずいし、さりとて、自分の芸もタップリと見せなければいけない難しい立場>となりました.」太神楽の翁家和助さんが、傘の上で鞠や升を回し喝采をうけた後、子どもを舞台に上げて、紙風船を傘の上で回させるというお楽しみ.そして五階茶碗という太神楽ではお馴染みの曲芸を見せくれました.このときバックの音楽を下座さんが芸に合わせて演奏してくれます.そして、本日のトリは再度吉窓師匠の登場で『時そば』をタップリと聴かせてくれました.こども寄席ということでネタ選びも大変だったと思いましたが、大人も楽しめる面白い企画だったと自分でも感心してしまいました.公演に先駆けてワークショップとして、希望者による落語に挑戦するという企画があり、子供たちが浴衣を着て落語〈小噺〉に挑戦しました。企画者としてお客様に喜ばれたことが一番嬉しいことでした.