街のあかり

昨晩、映画「街のあかり」を見た。アキ・カウリスマキ監督の「敗者三部作」といわれる作品である。
内容は、警備員のしがない一人の男が、悪女にだまされて宝石強盗にされ、刑務所に収監されるが、仮出所してきて、女にだまされたことを知り、復讐を企てるが、また、痛めつけられてしまう。という話だ。
淡々と、描かれる男に、哀れさを感じるが、何とも言えない物語ではあった。音楽が素晴らしいのが魅力である。タンゴが寂しく流れ、オペラの曲も流れ、ドラマと交錯して盛り上げる。良い映画を見た。
タンゴが流れたと書いたが、タンゴファンとして、ポルテニア音楽が好きで、タンゴ、フォルクロ−レのレコードを沢山買い集め、来日したタンゴ楽団の公演は必ず聴きに行き、楽屋を尋ねてレコードジャケットにサインを貰っていた者としては聞き覚えのある曲であった。クレジットを見て納得。曲は、アルフレド・レペラ作詞の「エル・ディア・ケ・メ・キエラス」であった。作曲はタンゴ歌手で飛行機事故で亡くなったカルロス・ガルデルである。邦題で『想いのとどく日』。納得されたことと思います。映画をご覧になった方であれば、なるほどと監督のセンスに感心されたことでしょう。ちなみに歌詞の内容は、「わが夢を愛撫する、君の吐息のやさしいつぶやき。君の黒い瞳が私を見てくれるとき、どれほど人生が笑うことか。君が私を愛する日、華やかなバラはいちばん美しい色の晴れ着を付ける。鐘の音が、君は私のものと風に告げ、泉は狂ったようにその愛を語る。君が私を愛する夜、空の青みから、嫉妬ぶかい星たちが私達の歩みを見つめる。そして神秘の光が、君の髪にやどる。おせっかいな蛍、君が私の慰めだとみとどける。」映画の内容にピッタリのところが多々ありますね。映画は総合芸術であると思っています。他のジャンルにも興味を持っていると、色々と参考になりますね。