初芝居

1年の最初に観る芝居を「初芝居」という。今日国立劇場で歌舞伎を観てきた。今日は初日、本当の初芝居だ。
演目は、通し狂言『小町村芝居正月』という復活狂言である。219年前に演じられてから誰も取り上げていないというものだ。したがって誰も実際に観たことが無い。色々な文献や番付などを元に関係者が作り上げたものだ。歌舞伎座のように「見取り狂言」(有名な芝居の一部分を抜き出して上演する。たとえば忠臣蔵七段目一力茶屋の場というように)方式だと初めての人にはわかりにくい部分も出てくるが、通し狂言というのは、筋が通っているので、良く見ていれば初心者でもストーリーがわかる。現在は出ていないが、市川猿之助が復活狂言を掘り起こし、面白く見せてくれたのは嬉しかった。
さて、「小町村芝居正月」だか゛小町村とあるように、小野小町深草少将、そして大伴黒主が出てきて、時の帝の御位争いが絡んでくるというもの、お約束で、前半は時代物、後半は世話と決まっている。今回は、大詰めに『暫』の趣向を取り込んで見せてくれた。
菊五郎劇団の公演なので、菊五郎菊之助時蔵松緑、彦三郎、そして人間国宝田之助というようなメンバーでの公演だ。舞台装置も豪華で華やかで、正月気分の横溢した歌舞伎味溢れる公演であった。
初めて歌舞伎を見る人を含め20人で行ったが、安い料金で花道も見え、とても楽しかったという声が多かった。今後も歌舞伎ファンを増やすべく、自分も楽しみながら色々と観ていきたいと思っている。