『アダン』

 待ちにまった映画『アダン』の初日、夫婦そろって映画館へ出かけました。エキストラに参加した人たちでしょうか、夜の回にしては多いなと思うぐらい観客が入っていました。
 予告編に続いて本編の上映が始まりました。はじめて展覧回に出品した『白い花』が入選し、次の作品が審査されるシーンになりました。作品が搬入され、審査員の目が光るのですが、媚を売っているようなところがあるとして落選となり、審査会場に一村が現れ山上北斗になぜ落選かとくってかかるシーンになりました。
 この瞬間、私のエキストラ参加シーンは編集でカットされたことがわかりました。なぜなら、私たちがエキストラとして参加したのは、一村の作品が入選し、展覧会場で山上北斗とぶつかり合うシーンだったからです。俳優もきちんと榎木、古手川、中村とそろって演技したシーンでもカットされるのだなと思いました。
してみると、「釣りバカ日誌6」での結婚式シーンでエキストラ出演し、映っていた事はすごいことなのだと思いました。
 エキストラのことはさておき、『アダン』素晴らしい作品です。何よりも主演の榎木孝明の入魂の演技は、さすが自身も絵を描く人ならではの役作りで田中一村その人になりきっています。後半の奄美大島でのロケも現地の風景を見事に色鮮やかに映し出し、一村作品の誕生の元になった熱気が感じられます。脇役陣も素晴らしく、こういう作家がいたことを沢山の人に知ってもらいたい、全国的に公開されても良い作品だと思います。機会がありましたら是非ご覧ください。現在、東京では恵比寿の写真美術館内のホールで上映中です。